病気のお話し

大腸ポリープ

ポリープは腸管の内腔に向かって限局性に発育する隆起性病変の総称ですので、腫瘍性、非腫瘍性に関係なく隆起するものがすべて含まれることになります。大腸のポリープは、①腺腫様ポリープ②過形成性ポリープ③過誤腫性ポリープ④炎症性ポリープの4つに分類すると理解しやすいと思います。

①腺腫様ポリープは、良性の(上皮性)腫瘍で、一部は増大傾向を示し大腸癌の原因の一つに挙げられるため、内視鏡的に切除されるべきポリープとされています。10mm超える大きなものは癌を合併していることもあり、癌の浸潤が粘膜内(粘膜内癌)であれば内科的に内視鏡切除で根治が可能ですが、すでに深部浸潤(粘膜下層以深)している場合は外科的切除の適応になります。また、側方に増殖(進展)する特殊型もあり、内視鏡治療の適応になります(側方進展型腫瘍;LST)。

②過形成性ポリープは直腸からS状結腸に多発することが多く、ほとんどが5mm未満の、表面が平滑で白色調のポリープです。組織学的に鋸歯状変化を示すことから、鋸歯状病変の一部に分類されます。非腫瘍性のため治療の適応にはなりませんが、腺腫との鑑別が困難なものもあります。特に鋸歯状腺腫の一部は癌化の報告があり、内視鏡的治療の適応になるために注意が必要です。

③過誤腫性ポリープは、若年性ポリープが代表的なもので、非腫瘍性に分類されますが、極稀に癌化の報告があります。幼児期や学童期にみられることが多く、腹痛や下血が発見の契機になることがあり、内視鏡的切除の適応になります。

④炎症性ポリープは、潰瘍性大腸炎やクローン病、その他感染性腸炎などでみられ、炎症によって生じた深い潰瘍の治療や粘膜の再生過程で再生されます。多発することが多く、診断は容易ですが、単発なものは腺腫との鑑別が困難なものがあり注意が必要です。

以上が大腸ポリープの大まかな分類になりますが、ポリープはすべて治療の適応になるものではなく、ポリープの主体が何なのかを見極めることが重要です。ポリープの表面構造を詳細に観察できるズーム機能の付いた拡大内視鏡に色素散布やNBIを併用することで、ポリープの鑑別が今まで以上に可能になってきました。
ポリープの診断がなされた場合、治療の必要性があるか否かを主治医から充分な説明を受け、納得したうえで治療することが重要と思われます。
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