院長のいちょう通信

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感染症との闘い

更新日: 2023/10/4(水)
この夏、新型コロナウイルス感染症、ウイルス性胃腸炎、インフルエンザなどウイルス感染による患者さんが多く受診されました。新型コロナウイルス感染症は5類に移行し、弱毒化したといえども後遺症が持続する場合もあり、いまだ油断もできない状況です。
思えば人類は感染症との闘いでした。世界的に大流行した代表的な感染症としては13世紀のハンセン病、14世紀のペスト、16世紀の梅毒、17〜18世紀の天然痘、19世紀のコレラと結核、そして、近年ではインフルエンザとエイズなどがあります。
新型コロナウイルス感染症と対比するため、メディアに多く取り上げられたスペイン風邪(後にインフルエンザと判明)は、1918年から1920年まで世界的に大流行し、日本でも感染者は2300万人(国内人口5600万人)、うち死亡者は40万人にもなりました。当時の新聞報道をみると感染予防としてマスク装着を呼び掛けており、現在のコロナ感染症と同等の予防策であったことがうかがえます。
記憶に新しいものでは、2002年の重症急性呼吸器症候群(SARS)、2009年の新型インフルエンザ、2014年エボラ出血熱、デング熱などがありますが、重症急性呼吸器症候群(SARS)は高熱と咳、呼吸困難から始まる死亡率の高いウイルス感染症で、30ヵ国まで拡大。2003年9月には収束しましたが、当初は原因不明の重症呼吸器感染症として恐れられました。
この頃、自分は関東の医科大学の病理学教室に国内留学中であり、2003年4月、アメリカのフロリダで開催されるアメリカ消化器病学会(AGA)で発表する機会を得ましたが出国の数日前に大学から渡航禁止令が出され、予定はすべてキャンセルになってしまいました。直前のキャンセルであったため、キャンセル代がかなり高額になった苦い記憶があります。
森林伐採や地球温暖化などよる環境の変化に、変異するウイルスの特性も加わり今後も人類と感染症との闘いは永遠に続きそうです。

 

 

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